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成瀬医院

 


そよかぜ通信
 

Vol.6  No.2 Ver.1
200
431

 

発行:成瀬医院  成瀬 清子

東京都杉並区清水 2-11-12

tel 03-5311-5133

 

 

目 次

 

感染症情報

子ども予防接種週間

子供の事故は大人の責任

休診のお知らせ

 


感染症情報

 東京都や杉並区の今年のインフルエンザの流行は、ほぼ例年なみでしたが、このあたりは昨年よりはずっと少ない印象でした。2月に入ってからは暖かい日が多く、患者さんは急激に減っています。今一番多いのは感染性胃腸炎ですが、昨年同様、溶連菌感染症がかなり増えてきています。また水痘(水ぼうそう)が結構出ていますが、発疹が出ても熱がないとそれと気付かないお母さまがおられます。わずかですが流行性耳下腺炎(おたふく風邪)もみられます。身近にどんな病気が出ているかに注意しながら、お子さんの健康状態を見てください。

 

子ども予防接種週間

 病気を未然に防ぐ予防接種はとても大切なものですが、日本における接種率は先進諸国の中では最低で、毎年はしかの集団発生が起きたり、外国に持ち込むことなどが問題になっています。日本医師会と日本小児科学医会は、今年から3月1日〜7日を子ども予防接種週間と定め、予防接種を促進する活動をすることになりました。しかし、今年は準備が不十分で、きちんとした体制ができていません。とりあえず当院では、平日にお子さんを予防接種に連れて行きにくい方のために、3月6日(土)午後2時〜4時に予防接種を行なうことにしました。御希望の方は3月4日(木)までに電話で予約をして下さい。麻疹(はしか)、風疹、三種混合、二種混合、日本脳炎が可能ですが、ポリオは接種できません。今さら3月6日の事を書いても遅いと思われるでしょうが、この機会にもう一度予防接種の見直しをしていただきたくて、通信に取り上げることにしました。

 私が校医をしている沓掛小学校に今年入学する子供達を調べていただいたところ、接種状況を確認できた80人中、麻疹未接種が3人、風疹は18人。既に済ませているべき、麻疹、風疹、三混、日本脳炎のうちいずれかが済んでいない子供が実に半数もいるのに驚きました。土曜の午後に予防接種の時間をとったのは、お母さんが働いているとどうしても接種率が悪くなるだろうと思ったからです。しかし、うちの医院に来る子供達を思い浮かべながら入学予定者の接種状況の一覧表を見た印象では、幼稚園児か保育園児かで差がある訳ではないようです。子供が病気になると仕事を休まなくてはならないので、働いているお母さまの方がむしろ予防接種には積極的かもしれません。日本脳炎の接種率が際立って悪いのは、標準対象年令が3才以降の為、乳幼児検診の際にチェックができないことが一因と思われます。忘れている方も多いようですので、ここで思い出していただきたいと思います。

 一時期、予防接種の副反応が過剰に報道され、予防接種に対する過った認識が広まったことにより、主に三種混合の予防接種を受けない方が増えました。その結果、ほとんど見られなかった百日咳とジフテリアが急増し、多くの子供たちが命を落としました。現在では三種混合を受けない方がよいというような記事は見られなくなりましたが、今でも予防接種は危険だから受けない方がよいと思っておられる方が少なくありません。確かに予防接種でまれに重い副作用がおこることはありえます。健康な子供に予防接種で重篤な副反応が起きてしまったら、親としてはやり切れない気持になるのは当然ですから、わざわざ危険をおかしたくないという判断は理解できます。しかし、重篤な副反応が起こりうるという事実は、予防接種を受けない方がよいとういことを意味しません。大事なことは、受けた場合と受けなかった場合でどちらが重大なことが起こりやすいかです。この観点から、私は定期接種(無料で受けられる予防接種)以外の水痘やおたふく風邪も可能なら予防接種をした方がよいと思っています。どちらも大人になってからかかると重症にないやすいので子供のうちに免疫を付けたい疾患ですが、自然感染より予防接種の方が遥かにリスクが少ないからです。少なくとも定期接種は必ず受けるようにして下さい。

 望ましい接種時期についても少し触れましょう。対象年令期間ならいつでもよいというものではありません。幼児期の予防接種の対象年令期間は以前はもっと短かったのですが、小学校入学の際に接種もれをチェックし接種の機会を作れる様、公費の適応期間を伸ばしました。しかし、より適した時期は予診票の冊子にある「標準的な接種年令期間」です。なるべくこの期間に受けるようにして下さい。個々の接種について、今後もう少し詳しくお知らせする予定です。

 幼児期に行なう予防接種の公費の適応期間は7才6ヶ月の前日までです。この春小学生になるお子さんは、今年が無料で受けられる最後の年です。予防接種予診票の冊子を見直して、受けていないものがあれば是非この機会に済ませましょう。

 

子供の事故は大人の責任

 1月下旬、2件続けて幼児のたばこの誤飲を経験しました。子供は、手にしたものはなんでも口に入れます。まして、離乳食が始まり、食べ物に興味を持ち始めた乳幼児が、大人のくわえているタバコを食べ物と思っても不思議はありません。そして、子供の手の届くところにタバコがあるから事故が起こるのです。我が国の子供の誤飲事故のトップはタバコです。

 タバコをたくさん食べてしまうとニコチン中毒を起こします。子供の致死量は紙巻タバコ約一本分ですので、食べた量が2cm以下ならそのまま様子を見てもいいですし、できれば吐かせ、4〜5時間たっても症状が出なければ大丈夫です。2cm以上だったり量が分からないときは、吐かせてから胃洗浄ができる病院を受診して下さい。ある教科書には、牛乳か水を100〜150ml飲ませてから吐かせると書いてあります。これは、吐かせやすくするためと思われますが、別の記事には、液体を飲ませるとニコチンが溶け出やすくなり、早く吸収されるから何も飲ませるなと書いてあります。吐かせることに時間をかけるより、早く病院を受診した方がいいですから、取り敢えず何も飲ませず吐かせてみて、うまくいかなければ無理をしないことが一番かなと思います。(一番よい方法を選ぶのって難しいですね。)吐かせ方は、片膝をつき、たてている方の足の大腿に子供のお腹を乗せ、頭を低くし、指で舌の奥を押して刺激します。吐いたものが気管に入らない様注意し、1〜2度試みてはかない時は無理をしないようにしましょう。

 幸い、ニコチンは胃からの吸収は遅く、また吐き気をおこして自分で吐くことが多いので、実際にニコチン中毒になることはまれだそうです。先日の例でも、一例は自分で吐きましたし、もう一例は病院で胃洗浄をしていただきましたが、連絡した先生は全く慌てておられませんでしたので、通常は大事にはならないようです。それでも、胃洗浄を受ける赤ちゃんは大変です。タバコの管理には充分気を付けて下さい。そして、もっと恐いのはニコチンが溶け出した液を飲むことです。灰皿に溜った水や、灰皿代わりにした空き缶の水を飲んだ場合は危険なのでただちに受診が必要です。空き缶を灰皿にする事は絶対に止めましょう。小さな子供でなくても事故につながるおそれがあります。

 また、洗剤等をペットボトルや空き瓶に入れることも大変危険です。家族だけでなく、入れた本人でさえうっかり飲んだり使ってしまう例は後をたちません。食品の容器に食品以外のものを入れるのは絶対に止めて下さい。

 タバコの次に誤飲の多いのは医薬品です。シロップやラムネ状にした子供用の薬は美味しいので、何日分もの薬を一度に飲んでしまう例は年に何件か経験します。大人の薬でも、まわりが甘い糖衣錠になっていると好んで飲みますし、苦い薬を飲んでしまう例もあります。缶に入れ、冷蔵庫の上に置いてあった薬を、踏み台を持ってきて取り、何十錠も食べてしまったお子さんもいます。そのくらいの知恵のある年令ですと、あらかじめ、これは薬だからたくさん食べると危険だと言うことを話しておけば、多くの場合防げると思いますが、やはり保管の仕方が重要です。お母さんとしては、手の届かないところに置いたつもりでも、それでも事故は起こります。薬の管理にはくれぐれも注意して下さい。

 病気と異なり、子供の事故は誤飲に限らず、大人がその原因を作らなければ必ず防げます。子供の手の届くところに危険なものは置かない、階段に柵をつける、お風呂に水を入れておかない、ベランダに踏み台になるものを置かない等、気を付けなければならないことは沢山あります。「危険なもの」と書きましたが、鉛筆を持って転ぶ、ビニール袋をかぶる等、大人にとっては身近にあって当たり前の物が子供には危険なものになります。子供の事故の責任は大人にあります。身の回りを一度点検してみて下さい。

 

休診のお知らせ

4月1日(木)午後4時〜4月6日(火)の診療は休診とさせていただきます。なんで休むのか、皆さん色々推測されている様ですが、院長の単なるリフレッシュです。ご迷惑をおかけしますがよろしくご了承ください。

 

 


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